社会保険委員会
神奈川小児科医会 社会保険委員会報告
「小児かかりつけ診療料」新設の背景について
平成26年度診療報酬改定にて、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の機能分化・強化、連携が掲げられ、「かかりつけ医機能」の強化が求められました。28年度の改定では、2025年に向けて、地域包括ケアシステムの推進と効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築を図ることが求められ、「外来医療・在宅医療」については、「かかりつけ医機能」の一層の強化を図ることが求められ、その流れの中で「小児かかりつけ診療料」が新設されました。
かかりつけ医の代償として、常時の診療問合せを求めるなど。算定基準が容易ではなく多くの小児科医は届出に躊躇しているのが現状のようです。
今後も医療の効率と質の担保が求められる時代が続くと思われ、診療報酬の重点は「かかりつけ医」に対する評価のみに集約されると推測されます。時間外対応という厳しい条件がありますが、これに対応してかかりつけ医として機能していかないと小児科診療所の未来はないかもしれません。日本小児科医会社会保険委員会では、現行の施設基準および算定要件の見直しについての以下の要望書を提出しております。
平成29年度第1回日本小児科医会社会保険委員会報告 29.6.11
(担当副会長:奥村秀定 担当理事:田角喜美雄、田山正伸、嶋尾 智 委員長:高木英行)
『平成30年度診療報酬改訂に向けた小児医療に関する要望書』の提出について
内容:①入院小児医療 ②外来小児医療 ③在宅小児医療 ④DPCの機能評価係数への要望 ④小児二次医療圏の人口評価の見直し について要望
[外来小児医療についての要望内容]
◎小児かかりつけ診療料(1日につき)(見直し)
[最重要要望事項(外来小児医療)]
『平成30年度診療報酬改訂に向けた小児医療に関する要望書』の提出について
内容:①入院小児医療 ②外来小児医療 ③在宅小児医療 ④DPCの機能評価係数への要望 ④小児二次医療圏の人口評価の見直し について要望
[外来小児医療についての要望内容]
◎小児かかりつけ診療料(1日につき)(見直し)
内容の変更
1)
増点:小児科外来診療料を算定していない医療機関においては、小児かかりつけ診療料と小児科外来診療料との差額分を「小児かかりつけ加算」として算定する。
2)
除外項目の見直し:一部の高額薬剤・高額検査を必要とする疾患に対し、その診療を包括から除外する。
3)
算定要件の変更:電話対応については準夜帯に実施するとした緩和条件を要望
4)
施設基準の変更:「時間外対応加算の提出」の削除、初期救急医療への参加を緩和、嘱託医に小中学校の学校医を追加
[最重要要望事項(外来小児医療)]
- 小児かかりつけ診療料の見直し
- 乳幼児栄養指導料の増点と6歳未満への年齢拡大
- 小児特定疾患カウンセリング料の見直し:
年齢制限の撤廃、算定可能な年数と年齢の引き上げ等 - 情報提供料(Ⅰ)に学校指導管理表を追加、小児科外来診療料の除外特例項目に追加
- RSウイルス抗原定性の対象年齢の見直し
- 外来迅速検体検査加算要件の緩和
- 小児アレルギー疾患療養指導料の新設、発達障がい児療養指導料の新設
神奈川県下での小児かかりつけ診療料の算定について
平成28年4月からスタートを切った「小児かかりつけ診療料」ですが、各厚生支局から集めた情報では、平成28年10月中旬の時点での届け出数は全国で887件であり、全国の診療所数101,412保健医療機関の0.8%に過ぎません。最も多いのが東京都104医療機関、次いで愛知県103、福岡県69、神奈川県63でした。神奈川県で29年3月に算定した医療機関は38、4月には37医療機関(小児系診療所中2.5%)で、届出割合と算定割合に大きな開きがありました。
保険審査だより
国保・社保合同審査委員会報告
①
初診の算定について
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎は慢性疾患であり、短い間隔での初診は査定対象となります。喘息様気管支炎は、急性疾患として取り扱っておりますが、気管支喘息と同じ慢性疾患としても認めております。ただ、他府県では、急性疾患として取り扱っている所が殆どで、見直しが必要であるとの意見もあります。
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎は慢性疾患であり、短い間隔での初診は査定対象となります。喘息様気管支炎は、急性疾患として取り扱っておりますが、気管支喘息と同じ慢性疾患としても認めております。ただ、他府県では、急性疾患として取り扱っている所が殆どで、見直しが必要であるとの意見もあります。
②
第二世代抗ヒスタミン薬の併用は査定対象
ただし、抗ヒスタミン作用のない抗アレルギー薬との併用は認めております。投与開始年齢が決められている抗ヒスタミン薬は、年齢幅が0.5歳以内であれば容認しています。増量のない薬剤については増量を認めておりません。
ただし、抗ヒスタミン作用のない抗アレルギー薬との併用は認めております。投与開始年齢が決められている抗ヒスタミン薬は、年齢幅が0.5歳以内であれば容認しています。増量のない薬剤については増量を認めておりません。
③
気管支喘息に対する抗生剤の使用は査定対象
喘息様気管支炎では、発症後の経過が長い症例では新たな病名が必要です。
喘息様気管支炎では、発症後の経過が長い症例では新たな病名が必要です。
審査雑感
縦覧・突合により再審査請求が増えております。- 小児科診療所では、初診算定についての再審査請求が増加しています。上気道炎、急性気管支炎に抗アレルギー剤の使用し、アレルギー性鼻炎の傷病名を追加しているケースが数多くみられます。短期の間隔でのアレルギー性鼻炎の傷病名は査定対象となます。
- 外用薬の処方量に対する治癒判定。ヒルロイドソフトなどスキンケア使用する外用薬が年齢から判断し、使い切っていないと思われる場合は、新たな初診算定はできません。また、類似している傷病名で、短い期間(薬剤使い切った後)に類似薬剤の処方がる場合も初診算定は査定対象となりますのでご注意ください。